top of page

大和言葉入門講座レポート|「みる」から広がる日本語の世界と参加者の声

9月16日
読了時間: 6分

ことばを音からひらくと、いつもの日本語が少し違って見えてくる。


2026年9月13日、NPO法人 日本児童文化教育研究所の主催で、

「大和言葉と言霊のやさしい入門講座〜絵本『やまとことば神話』を語り継ぐために〜」

を開催しました。

会場とオンラインをつないでお話ししたのは、大和言葉、五感、言霊、そして古事記。



講座後のアンケートの中で最も多く「印象に残った」と挙げられたのが、「五感と大和言葉」についてでした。


そして、「これからもっと深く学んでみたいこと」として最も多かったのは、


「大和言葉の一音一音の意味」


でした。



私自身、今回の講座を終えて改めて感じたのは、難しい日本語の知識をたくさん伝えることよりも、私たちが毎日使っていることばを、ほんの少し違った角度から見てみることに、大和言葉のおもしろさがあるということでした。




「見る・観る・看る・診る」は、なぜ全部「みる」なのか


講座の最初に取り上げたのは、

見る、観る、看る、診る

ということばです。


漢字を見ると、それぞれ意味は違います。

ところが、声にしてみれば、すべて同じ「みる」です。


そこで、いったん漢字を外して、「みる」という音そのものから日本語を見てみました。



私が学び引き継いできた大和言葉の音義から、一つ一つの音に働きがあると考え、ことばを読み解いていきます。


これは一般的な語源学の定説としてお話ししているものではなく、ことばを音から考える一つの読み方です。


「み」とは何か。「る」とは何か。


そこから「みる」を考えてみると、普段何気なく使っている二音のことばが、人や自然とどう向き合うのかというところまで広がっていきます。


たとえば、子どもを「みる」。

ただ目に入っているというだけではなく、

「今日はいつもより静かだな」「少し表情が違うな」

と、その小さな変化に気づくことも「みる」ということなのかもしれません。

講座では、そんなところから大和言葉の世界へ入っていきました。




「みる」「きく」「かぐ」「あぢはう」「ふれる」


そこから話は、五感へと広がりました。

みる。きく。かぐ。あぢはう。ふれる。


私たちは毎日、当たり前のようにこうした働きを使っています。

食べ物を味わう。音をきく。人にふれる。自然をみる。


一つ一つをことばから考えていくと、五感は単に外の情報を集めるためだけのものではなく、自分が世界とどのように関わっているのかを考える入口にもなります。


今回のアンケートで最も多く選ばれたのが「五感と大和言葉」で、回答者の63.6%が印象に残った内容として挙げていました。


私にとっても、とても嬉しい結果でした。

なぜなら、五感は、私たちが世界に触れ、感じ、関わっていく入口だからです。


「みる」「きく」「かぐ」「あぢはふ」「ふれる」。

こうしたことばを一つ一つ見つめていくことは、外の世界について知るだけではなく、自分は何を感じ、何を大切にし、世界とどう関わっているのかを見つめることにもつながっていきます。


私がセミナーや読みものを通してお伝えしていきたいのも、まさにそこです。

大和言葉の世界観を通して、自分自身の在り方を見つめてみる。


昔のことばを知識として学ぶだけではなく、そこから今を生きる自分に立ち返ってみる。大和言葉には、そんな面白さがあると私は感じています。





言霊とは、「願えば叶う」という話なのか


もう一つ、今回取り上げたのが言霊(ことだま)についてです。


「言霊」というと、

「よいことばを使えば、よいことが起こる」「願いを口にすれば現実になる」

といった意味で語られることもあります。


講座では、そこから一度離れて考えてみました。



ことばは、人から人へ伝わり、その人の心や身体、行動、人との関係に働いていく。

『万葉集』には、すでに「言霊」という語が残されています。


古代の人々がことばをどのようなものとして捉えていたのか。

その歴史的な背景と、私たちが日常で使うことばの両方から、言霊を考えてみました。





ことばから、古事記へ


後半では、ことばから日本神話へと進みました。

『古事記』の冒頭に現れる天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。


神様の名前として覚えるのではなく、

アマ|ノ|ミナカ|ヌシ

と音にひらいてみる。


すると古事記も、遠い昔の難しい神話ではなく、日本語の音を手がかりに読み進める物語として、少し違った表情を見せてくれます。


そして最後に紹介したのが、絵本『やまとことば神話』でした。


難しい古事記を、

読む。感じる。語る。

その入口となる一冊です。


今回のアンケートでも、参加者の約30%がこの絵本を印象に残った内容として挙げ、約50%近くが「読んでみたい」と回答してくださいました。




「もっと知りたい」は、一音一音へ


今回、私が特に嬉しかったのは、講座を聞いて終わりではなく、

「もう少し知ってみたい」

という声が多く寄せられたことでした。


今後もっと深く学びたいテーマとしては、

  • 大和言葉の一音一音の意味 約40%

  • 日本人のものの見方・精神性 約30%

  • 古事記・日本神話 約27%

という回答がありました。


60分の講座でお伝えできるのは、本当に入口だけです。

「みる」「きく」の先にも、まだたくさんのことばがあります。

そして一つ一つの音をたどっていくと、ことばから古事記へ、古事記から日本人の自然観や人との関わり方へと、学びは広がっていきます。




参加者のみなさんから


アンケートには、こんな言葉も寄せられました。

「もっと色々なことを伺ってみたい」
「大和言葉が生まれた背景のお話を、もっと聞いてみたい」
「言霊についてもう少し深く理解して、子どもに意味を伝えていきたい」

どれも、今回の講座で私が一番願っていたことにつながっています。

何かを「知った」で終わるのではなく、

「もう少し知りたい」「誰かに話してみたい」

という気持ちが生まれること。

ことばや物語は、そうやって人から人へつながってきたのだと思います。




一冊の絵本から、家庭へ。家庭から、次の世代へ。


今回の講座には、

「絵本『やまとことば神話』を語り継ぐために」

という副題を付けました。



だからといって、最初から上手に語れる必要はありません。

まず、自分自身が知る。

おもしろいと思う。

もう少し調べてみる。


そしてある日、

「そういえば、こんな話があるんだよ」

と誰かに話してみる。


家庭で。地域で。子どもたちのいる場所で。


そんな小さなところから、ことばや物語は次の世代へつながっていくのではないでしょうか。

今回の講座が、その最初の一歩になっていたら嬉しく思います。




大和言葉を、もう少し知ってみたい方へ


やまとことば.jpでは、「みる」「きく」「かぐ」「あぢはふ」「ふれる」をはじめ、私たちが普段何気なく使っている日本語を、音や歴史、研究、古事記などさまざまな角度から読み解いています。


ことばを知ると、世界の見え方が少し変わる。

気になることばから、ぜひ読み進めてみてください。


◾️大和言葉について、もう少し知ってみる


◾️これからの講座・セミナーを知りたい


◾️今回の講座を主催したNPO法人 日本児童文化教育研究所について

コメント


bottom of page